プロローグ

2011年 春 東京

まもなく中学3年生になろうという時期に、
音もなくやってきた。

教室内に木霊する恩師の声。
「お前ら早く机の下に隠れろ!」
「東北はもっと大変なことになってるんだ!」
親が来るまでみんなと学校に残り、
姉は電車が動かず帰れなくなり、
ただ事ではないと思った。

現地に来て、思いから現実に変わる。

2度目の高校受験が終わり、入学まで時間が空いて、
「時間あるならボランティアに行ってきたら?」と親から一言。
ネットで受け付けている団体を調べて申し込みをする。
東京からマイクロバスで20名ほど、
大人に囲まれて緊張しながら、見えてきた情景に言葉を呑んだ。

出発前から、行くなら力にならなきゃいけない。
現地に着いてから一層その思いが強くなる。
そこに団体の方から、

「ボランティアは、ここに来ることが活動の8割を占めている」

現地の人はマイクロバスや自分たちを見て、
また来てくれたことに感謝している。
思いを感じ取って話してくれた言葉であると今思う。

「1人の100歩より、100人の1歩」

ここに来るまで気負いすぎていたのかもしれない。
何もできなかった自分の弱さと、
何かしないといけないという焦り。

東北で出会った人に全て変えてもらった。
パワーをもらった。
元気をもらった。

そして、

たくさんの笑顔をいただいた。

本当にたくさんの恩をいただいてきた。

その恩を返すために、

今、私は東北の地で生きている。

そしてこの時、銭湯開業を目指すきっかけとなった銭湯と出会い、
銭湯の持つ大きな役割や魅力を知り、

「湯を通して東北に恩返しを」

そんな思いで湯縁笑はできました。

ロゴデザインについて

風呂敷

大衆に銭湯文化が広まった江戸時代、風呂敷に湯具を包み、敷物に使ったり、体を拭いたりしていた。
風呂敷を結んだデザインは、風呂文化を通じ、老若男女、国籍を問わず笑顔になって縁を結ぶという意味。

配色

色は、
 南三陸町の町の色 スカイブルー
 湯の色 水色
に由来。

模様

配した模様は、
 登米市の市花 
に由来。

スタッフ

丹菊 龍也(Tangiku Ryuya) 夢見る青二才

東京都出身。